国木田独歩に「忘れえぬ人々」という短編がある。宿屋で会ったある人が、世の中には一度会っただけなのにどうしてか忘れられない人がいるという話である。 国木田独歩の特筆すべき点は、作中に二項対立を自ら提起しながら、それを自分で破壊して──好意的に言…
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