現代文化論叢

現代文化への「解釈」を探究する

ジャニヲタ研究大事典06:「ジャニーズJr.」

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ジャニーズJr.は、ジャニーズ事務所の中で、まだデビューしていないタレントたちが所属するグループである。もちろん、デビューもしておらず、ジャニーズJr.にも入っていないタレントもいる。

ジャニヲタがジャニーズJr.を推すメリットはいくつかある。

例えば、ジャニーズJr.は、デビューしたタレントたち(デビュー組)と比べて、距離が近い。また、デビュー後も推すことを考えると、推しとしての経歴が長くなる。その上、デビューするために自分が推したという達成感も生まれる。

こうした事情も含め、タレントたちがいつ事務所に入った(入所した)のかは重要な意味を持つ。その日付は特に入所日と呼ばれ、さながら誕生日のように祝われることが常である。

 

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とは言うものの、ジャニーズJr.がデビューできるかどうかは大変微妙な問題である。

毎年デビューが決定するわけではない。そこで、一度デビューが決定すれば、長い場合は数年間待つことが予定される。ジャニーズJr.の人数から考えて、相当多数のタレントが、デビューできないままとなる。

執筆時現在、ジャニーズJr.に所属するのは13グループであるとされているが、そのうち、特に露出の多いグループについて解説する。

まず、関東のジャニーズJr.の中では4グループが挙げられる(2020/1/12時点)。そのうち3グループが相対的に年上であるため兄組と呼ばれ、もう3グループが弟組と呼ばれる。

兄組には、Travis Japan(トラジャ)がおり、弟組には、HiHi Jets(ハイハイ)、美 少年、7 men 侍がいる。

こうした構成から分かるように、2019年8月8日に行われた「ジャニーズJr.祭り」でSixTONES(スト)とSnow Man(スノ)のデビューが発表された際、会場の一部はお葬式のような状態になったという。特に、トラジャを推すファンからしてみれば、兄組に1組だけ残された格好になり、「デビューはできない」という通告であるように受け取ったファンもいたからだろう。

一方、弟組としても、デビューを心待ちにする状態に変わりはない。ストとスノは例外的にデビュー時の平均年齢が高いが、従来の感覚で言えば、弟組にいつデビューが決定してもおかしくないからである。

 

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次に、関西には3グループある。なにわ男子(なにわ)、Aぇ!group、Lilかんさい(リトかん)である。

関西ジャニーズJr.はジャニーズJr.のYouTubeの公式チャンネルにおいて(この記事の執筆時時点において)担当の曜日を持っておらず、その点でファンの推し事も不完全燃焼の感があるのではないか。

というのも、かつて関西ジャニーズJr.に所属していた平野紫耀・永瀬廉が関東へ移籍したとき、この2人が絶大な人気を誇っていたため、関西ジャニーズJr.は焼け野原と例えられるほどの有様だった。

そうした過去も踏まえ、関東のジャニーズJr.のヲタクたちが、YouTubeの動画の再生数を回すために奮闘しているのと比べると、なんともいえない感覚なのだろう。

この感覚は、BS NHKでのジャニーズJr.の冠番組少年倶楽部」にも如実に表れている。「少年倶楽部」で取り上げられるのは、ほとんど関東ジャニーズJr.だけであり、関西には各放送日に1曲が割り当てられるに過ぎない。年間を通してみても、年に1回だけ関西で収録が行われるが、これは必ずしもファンの絶対数に対応したものとはいえないだろう。

 

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こうしたジャニーズJr.に対する推し事の集大成とも言えるのが、雑誌『Myojo』で行われる「Jr.大賞」という企画である。これは膨大な数の部門ごと、それにぴったりだと思うタレントを投票する。とは言いつつ、別に「Jr.大賞」という名前の部門があるわけではない。

そこで、花形とされるのが「恋人にしたい」部門である。この部門で1位を取ったジュニアは、ほとんど例外なくデビューしていることや、ヲタクの力が可視化されることもあって、多くのヲタクが力を入れる。

この場合、「恋人にしたい」部門1位のタレントには、ジャニヲタが多いということを端的に表すものではない。この場合の「ヲタクの力」とは、「ヲタクの数」に「資金力」を掛けたものである。従って、仮にファンがそれほど多くなくとも、その少ないファンに資金力があれば、部門では上位が狙えるのである。

 

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ジャニーズJr.を推していく上で、問題となるのが、推し続けることの困難さである。

事務所としても、確実にデビューしたあとに売れるように、グループの編成が頻繁に変わる。メンバーの増減はもちろん、グループ自体が解体されるような場合も多い。

また、グループ・ユニットに所属できればまだ良いほうで、所属できない場合も多い。これを無所属を略して無所と呼ぶ。

その中で、自らの活躍の居場所を見出せなくなった者は、ジャニーズJr.を去る。この場合、「既にやめたジュニア」という意味で、辞めジュと呼ぶ。

既にデビューしているタレントと違い、その後もタレント活動を続けることは多くなく、多くの場合は、それぞれの進路に邁進する。例えば美容師や保育士である。 辞めジュの中には、現役時代を彷彿とさせる人気ぶりを(主にSNSで)見せる場合もあるが、ファンの中には事務所を退所したら需要が無くなる、と考える者も少なくない。

 

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現在、ジャニーズJr.のマネジメントを行うジャニーズアイランドの社長は、滝沢秀明であり、滝沢秀明からの寵愛を受けることが重要な意味を持つ。

そうした風に、滝沢秀明から好かれているタレントは、滝沢秀明のお気に入りという意味でタキニと呼ぶ。

例えば、先だってデビューしたSnow Manは、タキニであったとされ、一部では、本来デビューの予定が無かったが、強引に滝沢秀明SixTONESとの同時デビューをねじ込んだとも言われている。(それを示すように、SixTONESSnow Manのデビューに関する発言の時系列の不可解さが指摘されている)

 

なお、本稿では、あくまで独断と偏見による解説を行った。もちろん、ここで紹介しなかったグループもあるし、そうしたグループを含め、いずれのグループに対してもデビューの可能性がある/無いについては述べなかったつもりである。