現代文化論叢

現代文化への「解釈」を探究する

映画

映画『ディーン、君がいた瞬間』:気怠さと短命

人には、短命と長命とがある。 極めて普通のこのことが、私たちにとって究極の不平等と、究極の平等を突きつけている。究極の不平等とは、まさしく寿命の長短であり、寿命が短ければ当然、幸福も少ないだろうし、長ければ幸福も多いだろうという不平等を指す…

映画『ある少年の告白』:Do you want to change?

この映画は傑作とは呼べないかもしれない。傑作を生みだしうる題材なのに。しかし得てして「事実は小説よりも奇」なるものであると同時に、事実は小説よりも「面白くない」ものである。 しかし、この作品が僕たちに突きつけるテーマは、それ自体熟考に値する…

映画『心が叫びたがってるんだ。』:山の上の城の意味

この作品について、まともに批評したブログというのに巡り合わなかった。 「考察」とは名ばかりで、その実際は中学生レベルの「感想」であるようなものや、「感想」と呼ぶのも憚られるようなレベルの低いものばかりだった。 ◆ まずもって、この作品が称賛さ…

映画『パラサイト 半地下の家族』:ギウはなぜ笑ったのか、あるいは象徴的な何かについて

本当に良い作品に触れた後、アルコールを飲んだ後のような多幸感に包まれる。この恍惚は、何も作品の筋立てがもたらす多幸感ではない。むしろ、そうした作品は、受容者に絶望的な何かを突きつけることも少なくない。 しかし、ただその法悦は、カラヴァッジョ…