ジャニヲタ研究大事典03：「担降り」「推し変」
ジャニヲタが「推す」行為には危険が伴うことは、先行研究でも指摘されている。例えば植田康孝は行動経済学において「喪失の心理的インパクトは利益のインパクトの２倍に相当する」との法則から、「ファンが応援していた「推しメン」「担」を損失する「ロス」は、利益の喜びの２倍に相当する」と指摘する。*1
ジャニーズのグループが、いずれも長期間活動を続けることを考え合わせれば、長い推し活動に結末がやってくるという「喪失」＝「ロス」は測り難いものがあるだろう。
そのためか、ジャニヲタは、推し事をやめざるをえない事情（解散や活動休止など）を避け、事前の予防策として、担降りすることがある。
担降りとは端的に、推しを推すことをやめることを指す。
その理由はいくつかの場合に分けられる。
例えば第一に、推しに女性スキャンダルが発覚したり、それをほのめかす画像が流出した場合などがある。
直近の例としては、2019年9月3日に、元々ジャニーズJr.との関係が噂されていた通称みうごんという女性と、ジャニーズJr.のグループHiHi Jetsのメンバー橋本涼がベッドの中で添い寝している画像が流出した事件が挙げられる。この際、同じグループのメンバー作間龍斗がみうごんの家だと思われるところで寝ている画像が流出した。こちらは、それだけでは問題なかったのだろうが、頬が赤めいていたことから、飲酒疑惑が持ち上がった。
前者の画像を流出させたのは、通称りいざと呼ばれるアイドルだった。
こうした画像が流出したり、ジャニーズとの関係を匂わせている場合、それが有名希望として断罪されることも多い。つまり、自らの知名度を上げるために、そうした行為を行っているとされるのだ。
しかしこの件は、画像の性質も性質だったので、YouTuberや文春を巻き込んだちょっとした騒動となった。りいざが公開したみうごんの音声では、
みうごんが作間・橋本両名と性的関係を持っていたことが明かされており、ヲタクの多くはそれに幻滅した。
その結果起きたのが、「担降り」である。
他に担降りの可能性があるとすれば、それは単に愛情が冷めたという場合である。この場合、単純に覚めるのではなく、別のタレントを推すことに専念するという意味を持つことがある。
こういったとき、例えば元々推していたタレントをA、次に専念して推す予定のタレントをBとしたとき、「AからBに降りる」といった言い方がなされることがある。
これは、別にAとBの上下関係があり、より低位な、低次なタレントを推すという意味ではなく、単に「降りる」という動詞に、むりやり目的語を当てはめただけである。
この場合、「降りる」と表現するのではなく、推しが変わったという意味で推し変と呼ばれることもある。
