現代文化論叢

現代文化への「解釈」を探究する

ジャニヲタ研究大事典10:「情報垢」

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情報垢とは、ジャニーズの情報を収集するためのアカウントである。

というのも、このシリーズの最初で述べたように、ジャニーズは一種の文学であり、アイドルがアイドルとして発した言葉の全てを信じるか、あるいはその全てを信じないかの二択しかない。

ヲタクには、その情報がどこまで信用できて、どこから信用できないのか、普通それを判断できないのである。

そこで、ヲタクたちは、アイドルの実際を知るために、情報を集めようとする。

 

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そこで扱われる情報は、タレントに関するもの全てであると言っていい。もちろん、住所のようなものから、よく使っているリップクリームのようなものまで、様々である。

こうしたアカウントの大きな特徴として、検索避けがある。タレントの名前を検索した際に、情報垢がバレるのは良くない。

基本的には、そうした情報は交換で流通する。手持ちの情報と、相手の情報を交換するのである。つまり、情報垢を始めるためには、その元手となる情報が必要なのである。

しかし、多くの場合は、そうした最初の情報を持たない。そういう場合には、何らかの方法で情報を得る必要がある。

その方法を、3つ紹介する。

第一に、無償企画と呼ばれる方法である。それぞれ検索避けでは「無亻賞」「🌳✍️」と表記される。

これは、既存の情報垢が、需要の無くなった情報をバラ撒き(🌹)と称して多くの人に渡すのである。なぜそんなことをするのか、情報を撒く人にとってのメリットは何かというと、協力者が得られることである。

第二に、買取と呼ばれる方法である。これは、情報垢が何らかの情報を金銭と引き換えに与えることである。この多くは実際には詐欺であるが、事情が事情だけに警察に訴えられないか、訴えたとしても事件にできる見込みはない。

第三に、繋がりという方法である。繋がりは検索避けでは「🤝」と表記される。

ジャニーズのタレントや、テレビ局などの関係者との個人的な人脈をつくり、その人物からの情報や、その人物とのお繋げ(関係を仲介すること)を引き換えに、情報垢を始めるのである。

 

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当然ながら、そうした情報垢でやり取りされる情報の全てが正しいとは限らない。むしろ、間違っているものがほとんどだと言えるだろう。そうした嘘のことを、特に虚言と呼ぶ。あるいはタレントとの繋がりがあるかのように匂わせることを自演と言う。

一方、意図的に誤った情報を拡散し、あるタレントやグループを貶めようとすることを落とし込みと呼ぶ。

 

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こうした情報垢の最終目標は何か、と言えば、それは自分の推しとの繋がりを持つことであると言っていい。この場合、推しはお目当て(検索避けでは「お👁あ✋」)と呼ばれる。

また、そうでなくとも、関係者・タレントとの繋がりから、ライブなどのチケットを融通してもらえることがある。このような場合、これを伝手によるチケットという意味でコネチケと呼ぶ。

一方で、そうした関係を持つことはプロ意識が欠如していると言わざるをえない。しかし、ジャニーズのタレントの多数がヲタクと繋がりを持っていることは、ほとんど周知の事実と言っていい。

 

なお、ここで紹介した検索避けは、あくまで一例である。検索避けはパターン化しているとは言え、その特性上、明確に一つに定まるものではないことをご理解いただきたい。